最近放送大学で心理学に関係する講座をいくつか取っているのですが、その中でゴルフの練習に関係のあると思われる内容があるので、ご参考までに教科書(放送大学教材:心理と教育へのいざない‘18)からいくつか抜粋してご紹介します。(突然出てくる言葉などについては、理解を助けるために注をいれました。)
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技術の習得には、反復練習が大切
短期記憶
感覚記憶(環境から感覚器官を通して入る、無数の情報が、ごく短時間保持されること、ほとんどは瞬時に消える。)に入った情報のうち、重要な情報や新奇な情報には注意が向けられ、数十秒間保持される。これを短期記憶という。
(中略)
短期記憶に入った情報は、リハーサル(復唱)等を通して、記憶の貯蔵庫に蓄えられる。これが長期記憶であり、おびただしい数の知識やスキル、経験が含まれる。この記憶は半永久的に保持されると言われ、必要に応じて検索されたり、ふとしたきっかけで想起されたりする。
短期記憶 ⇒ リハーサル(反復練習) ⇒ 長期記憶
記憶の内容
長期記憶に貯蔵されている記憶は、手続き的記憶と宣言的記憶(事実と経験を保持する記憶。教科書を使った記憶など、特別な動作を伴わない、言語の意味付けによる記憶。)に分けられる。
手続き的記憶とは、物事のやり方に関する記憶であり、言語によって説明することが難しい知識である。具体的には、折り紙の折り方、自転車の乗り方、パソコンやスマートフォンの操作、ダンスやスポーツの仕方、家事のやり方、車の運転、楽器の演奏、着物の着付け、職人の技、伝統芸能などを挙げることが出来る。
(中略)
手続き的記憶は、複数の操作を組み合わせた一連の手順から成り立っており、上述したように、言語化して伝えにくいという特徴を持っている。学習者は、手本を見ながら、又は適宜指導を受けながら、繰り返し練習を重ねることによって、やり方を体得していく。
一旦身に着いた手続き的記憶は、意識せずとも自動的に再生されることから、潜在記憶(implicit memory)の一つと見なされている。
記憶方略
手続き的記憶にせよ宣言的記憶にせよ、覚えておかなくてはならない事柄については、何度も繰り返すこと、すなわちリハーサルが必要である。忘却曲線(記憶が保持される量と時間の関係)で知られるエビングハウスは、無意味綴り(複数の単語を一つづつ提示し、直後にまとめて再生してもらう)を学習した後一日経つと、かなりの忘却が生じる一方で、学習時のリハーサルの回数を多くすると、翌日の学習に要する時間が短くなることを見出している。
下記は、エビングハウスの忘却曲線である。(Ebbinghaus, 1885)
(インターネット、「留こみ!」ブログより)
また、これまでの研究で、集中学習よりも分散学習のほうが効果的であることが確認されている。従って、リハーサル(勉強や練習)は、一度に集中して行うよりも、間隔をあけながら何度も行うほうが良いといえる。エビングハウスが指摘するように、急いで詰め込んだ知識は忘れるのも早いのである。
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複数ページにわたる記述からの抜粋なので分かり難いところもあるかとは思いますが、上記の事からゴルフの練習を考えてみると、一連の手順に従いながら反復練習を繰り返し、初期の短期記憶から潜在意識への長期記憶に変容させていく、系統だった練習が良いように思います。また、初心者から初級レベルまでは、特に経験豊富なコーチの元での練習が効果的で、自分だけの判断での自主トレは、学習を阻害する可能性があると言えるでしょう。
コメントをお書きください
中村 勤 (木曜日, 09 4月 2020 13:33)
反復練習の正しいお手本も必要だし、プロに習ったと安心しているだけでもダメ。このため初期の段階と定期的なプロによる指導受けは重要だと思います。
岩原 勇 (土曜日, 11 4月 2020 14:41)
コメントありがとうございます。
仮にお手本があっても、自分自身がお手本通りに運動しているかどうか、なかなか確認しにくいものです。
また練習のたびにコーチにつくというのも大変です。
そこで、反復練習(自主トレ)のときに、考えたことや感じたことをメモしておくことをお勧めします。自主トレのたびにメモを残すのです。
そして次のプロレッスン(定期検診)のときにそのメモを材料に、自主トレの検証や今後の方針を確認しあうことで、次のステップへ進みやすくなるでしょう。
中村 勤 (火曜日, 14 4月 2020 14:31)
回答ありがとうございます。
早速、練習時のメモ取りを実践します。
中村 勤 (金曜日, 12 6月 2020 15:06)
6月3日、三鷹でのレッスンありがとうございました。体重移動(並進運動と円運動)について大変参考になりました。現在、その課題に絞って練習中です。これまでのスイングと比べ、ヘッドの走りが良く、左足に体重が乗っているのでフィニッシュもきまりやすくなりました。あとは、指摘された、トップからの体重移動間にクラブを右体側へ引き寄せる動作をクラブと両腕の重みでできるくらい力みがとれればと思っています。
引き続きご指導よろしくお願いします。
スマホ太郎 (金曜日, 11 12月 2020 23:42)
質問です。
踊り、スポーツ、芸術などで先生、師匠から教わったあと、10分後に復習して、六時間後に復習して、24時間後に復習したら身に付きますか?
岩原勇 (金曜日, 18 12月 2020 14:19)
ご質問ありがとうございます。
エビングハウスの忘却曲線から読み取って、48時間後で28%の記憶が残っていることということは、10分、6時間、24時間の反復学習のペースを繰り返していればかなり潜在意識に記憶することができると思います。つまり身に付きます!